インプラント手術の流れとは?期間や痛み、注意点を解説します

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インプラント治療を検討する際、最も大きなハードルとなるのが「手術への不安」ではないでしょうか。歯茎を切ったり骨に器具を埋め込んだりすると聞くと、痛みや腫れ、そして具体的な手順が見えないことへの恐怖を感じるのは当然のことです。

しかし、治療の全体像と各ステップで行われる処置の内容をあらかじめ詳しく知っておけば、漠然とした不安の解消につながり、落ち着いて治療に臨むことができます。この記事では、インプラント手術の具体的な流れから、治療にかかる期間、術前後の注意点までを網羅的に解説します。読み終える頃には、治療のスケジュール感が明確になり、歯科医師との相談もスムーズに進められるようになるでしょう。

監修:新殿 慶太にいどの けいた先生 梅田アップル歯科 歯科医師

インプラント治療の全体的な流れ

インプラント治療は単に手術をして終わりではなく、入念な検査から始まり、手術後のメインテナンスに至るまで、いくつかの段階を経て進められます。まずは全体像を把握することで、治療のゴールまでの道のりをイメージしやすくなります。一般的な治療のロードマップを確認しましょう。

ステップ 名称 概要 所要期間の目安
Step1 検査・計画 CT撮影や口腔内検査を行い、計画を立てる 1〜2週間
Step2 前処置 歯周病治療や抜歯など、口内環境を整える 数週間〜数ヶ月
Step3 一次手術 インプラント体(人工歯根)を顎の骨に埋入する 1日
Step4 治癒期間 骨とインプラントが結合するのを待つ 3〜6ヶ月
Step5 二次手術 歯茎を切開して頭出しを行い、土台を装着する(※2回法のみ) 1日
Step6 型取り・装着 人工歯を作製し、インプラントに装着する 2〜4週間
Step7 メインテナンス 定期検診で状態を確認し、維持管理を行う 継続

参考:厚生労働省「歯科インプラント治療指針」

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治療開始から完了までの基本ステップ

インプラント治療の大きな特徴は、外科手術を伴う点と、骨との結合を待つ治癒期間が必要な点です。治療の流れは大きく分けて「準備段階」「手術段階」「製作・装着段階」「維持管理段階」の4つのフェーズで構成されています。

最初に行う準備段階では、検査を通じて安全に手術ができるかを見極めます。次に手術段階へ進みますが、ここには「1回法」と「2回法」という2種類の手法が存在し、患者様の骨の状態によって選択されます。その後、骨とインプラントがしっかりと結合するのを待つ重要な期間を経て、最終的な人工歯が入ります。このように、一つひとつの工程を丁寧に積み重ねることで、天然の歯に近い噛み心地を実現していくのです。

1回法と2回法の違いの図解

検査から手術までの具体的な手順

安全に配慮したインプラント手術を行うためには、事前の準備が何よりも重要です。いきなり手術を行うことはなく、まずは患者様の顎の骨の状態や全身の健康状態を詳細に把握することから始まります。ここでは、手術当日を迎えるまでに行われる具体的なプロセスについて解説します。

項目 内容 目的
問診 既往歴や服用薬の確認 手術のリスク評価
視診・触診 口腔内の状態確認 虫歯や歯周病の有無チェック
レントゲン・CT 骨の厚み、神経・血管の位置確認 インプラント埋入位置の決定
模型作製 歯型を取り、咬み合わせを確認 最終的な歯並びのシミュレーション
血圧・心拍数 全身状態の数値化 手術時の安全確保

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精密検査と治療計画の策定

初回のカウンセリングでは、患者様の悩みや希望を詳しくヒアリングします。その後、歯科用CT(断層撮影)を用いて顎の骨の立体的な構造を撮影します(※1)。レントゲンだけでは分からない骨の厚みや密度、神経や血管の走行位置を正確に把握するためです。

このデータをもとに、どの位置に、どの角度で、どのサイズのインプラントを埋入するかという詳細なシミュレーションを行います。検査結果に基づき、治療にかかる費用や期間、リスクについても十分な説明が行われ、患者様が納得した上で治療の同意書にサインをいただく流れとなります。この段階で不安な点があれば、遠慮なく質問しておくことが大切です。

CT画像の説明シーン

※1)【CTが必要な理由】インプラント症例では、術前評価として何らかの「断面(クロスセクショナル)画像」の使用が推奨される(原文: “AAOMR recommends that some form of cross-sectional imaging be used for implant cases”)

虫歯や歯周病などの前処置

検査の結果、インプラントを埋入する箇所の周辺に虫歯や歯周病が見つかった場合は、手術前にそれらの治療を優先して行います。特に歯周病菌はインプラントの大敵であり、口の中に細菌が多い状態で手術を行うと、術後の感染リスクが高まります。

また、顎の骨が不足していると診断された場合には、骨を増やすための造成手術(GBR法など)を事前に行うこともあります。口の中の環境を清潔で健康な状態に整えることは、インプラント治療を長持ちさせるための不可欠な土台作りと言えます。そのため、インプラント治療の前には口腔内をキレイにクリーニングして、細菌の数をコントロールする必要があります。

虫歯治療

手術当日の流れと痛みの対策は?

いよいよ手術当日となると、緊張が高まる方も多いでしょう。しかし、当日の流れと痛みへの対策を知っておけば、落ち着いて処置を受けることができます。ここでは、手術室に入ってから終了するまでの具体的な進行と、患者様の負担を軽減するための麻酔管理について詳しく見ていきます。

時間経過の目安 工程 内容
手術開始前 麻酔・消毒 局所麻酔を行い、口の周りを消毒する
開始〜15分 切開・剥離 歯茎を切開し、骨を露出させる
15分〜30分 埋入形成 ドリルで骨に穴を開け、インプラントを埋め込む
30分〜60分 縫合・止血 切開した歯茎を縫い合わせる
終了後 休息・確認 レントゲンで位置を確認し、止血を確認して帰宅

一次手術の具体的な進行手順

一次手術とは、顎の骨にインプラント体(フィクスチャー)を埋め込む最初の手術のことです。まず、十分に麻酔が効いたことを確認してから、歯茎を切開して骨の表面を露出させます。

次に、専用のドリルを使って、計画した位置と深さに正確に穴を開けていきます。この際、ドリルの回転熱で骨が火傷しないよう、注水しながら慎重に進められます。穴が形成されたらインプラント体を埋め込み、最後に歯茎を縫合して終了です。手術時間は1本あたり30分から1時間程度で完了することが一般的です。入院の必要はなく、その日のうちに帰宅して日常生活に戻ることができます。

インプラント手術

麻酔と鎮静法による痛みの管理

手術中の痛みについては、一般的な虫歯治療と同じ局所麻酔を使用するため、鋭い痛みを感じることはほとんどありません。麻酔が効いている間は、触られている感覚や振動は伝わりますが、痛みを感じにくい状態になります。

さらに、歯科恐怖症の方には「静脈内鎮静法」という方法を併用することがあります。点滴から鎮静薬を投与する方法で、うとうとした半分眠っているようなリラックス状態で手術を受けられます。健忘効果もあるため、手術中の記憶が薄れ、気付いたら終わっていたと感じる場合があります。このように、現代のインプラント治療では、痛みと精神的なストレスを最小限に抑えるための配慮が徹底されています。

静脈内鎮静法

1回法と2回法の手術の違い

インプラント手術には、大きく分けて「1回法」と「2回法」という2つの術式があります。これらは手術の回数が異なるだけでなく、適応できる症例やリスクにも違いがあります。ご自身の骨の状態によって医師が最適な方法を提案しますが、それぞれの特徴を理解しておくことで、治療方針への納得感が深まるでしょう。

比較項目 1回法 2回法
手術回数 1回のみ 2回(一次手術+二次手術)
適応症例 骨の量が十分で硬い場合 骨造成が必要な場合や骨が柔らかい場合
感染リスク やや高い(頭出ししているため) 低い(歯茎の下に埋めるため)
治療期間 比較的短い 比較的長い
患者負担 少ない 多い(手術が2回あるため)

身体への負担が少ない1回法

1回法は、その名の通り外科手術を1回だけで済ませる方法です。インプラント体を骨に埋入する際、その一部(または接続部品)を歯茎の上に露出させた状態で縫合します。そのため、骨と結合した後に再び歯茎を切開する「二次手術」を行う必要がありません。

手術回数が少ない分、身体的・精神的な負担が軽く、治療期間も短縮できるメリットがあります。ただし、この方法は顎の骨に十分な厚みと高さがあり、インプラントをしっかりと固定できる場合にのみ適応されます。骨が少ない場合や複雑な症例では選択できないこともあります。

1回法のイメージ

感染リスクを抑える2回法

2回法は、手術を2回に分けて行う最も標準的な術式です。一次手術でインプラント体を完全に骨の中に埋め込み、その上から歯茎を被せて縫合します。インプラントが完全に閉鎖された状態で治癒期間を過ごすため、細菌感染のリスクが低く、骨との結合を阻害する外力が加わりにくいのが最大の特徴です。

骨の量が少なく骨造成を行った場合や(※3)、全身疾患があり感染リスクを避けたい場合に適しています。治癒期間終了後に、再び歯茎を小切開してインプラントの頭部分を露出させる「二次手術」が必要になりますが、安全性を考慮した方法の一つと言えます。

2回法のイメージ

※3)骨造成が必要な場合、埋没(submerged)法が望ましい。治癒期間中に“感染のない環境”を確保できるため(原文: “the submerged technique seems preferable … secures an infection-free environment during the healing period”)

術後の治癒期間と二次手術の流れ

インプラントを埋入した後は、すぐに歯が入るわけではありません。「オッセオインテグレーション」と呼ばれる、インプラント体と骨が分子レベルで結合するのを待つ期間が必要です。この待機期間(免荷期間)こそがインプラント治療の成功を左右する重要な時間となります。

部位 治癒期間の目安 備考
下顎 2ヶ月〜4ヶ月 骨が硬く緻密なため、結合が比較的早い
上顎 3ヶ月〜6ヶ月 骨が柔らかく薄いため、時間がかかる傾向がある
骨造成あり +数ヶ月 造成した骨が成熟するまでの期間が追加される

オッセオインテグレーションの待機期間

一次手術が終わると、インプラント体と顎の骨がしっかりと結合するまで安静にする期間に入ります。これを治癒(免荷)期間と呼びます。期間は個人差や埋入部位によって異なりますが、一般的に下顎で2〜4ヶ月程度、上顎で3〜6ヶ月程度が目安です(※2)。

この期間中は、仮歯を使用する場合もありますが、インプラント自体には強い力がかからないように注意して生活します。外見上は変化がないように見えますが、骨の内部では新しい骨組織がインプラントの表面に形成され、強固な土台が作られています。この結合が不十分だと、将来的にインプラントが抜け落ちる原因となるため、焦らずじっくりと待つことが大切です。

骨結合のイメージ

※2)骨結合(オッセオインテグレーション)のために、下顎で最小3か月、上顎で6か月の治癒期間が必要(原文: “bone requires a minimal healing period of 3 months in the mandible and 6 months in the maxilla”)

二次手術とアバットメントの装着

2回法を選択した場合、治癒期間の後に「二次手術」を行います。これは一次手術に比べて小規模な処置で、局所麻酔をして歯茎を少し切開し、埋まっているインプラントの頭部を露出させます。

そして、インプラント体と人工歯をつなぐ連結部品である「アバットメント(土台)」を装着します。処置時間は短く、術後の腫れや痛みも一次手術より軽いことがほとんどです。装着後は歯茎の形が整うまで1〜2週間ほど待ちます。

アバットメントの装着

人工歯の装着とメインテナンスの重要性

土台が完成したら、いよいよ「歯」の部分が入ります。見た目の美しさはもちろん、咬み合わせの機能を取り戻す最終段階です。しかし、歯が入ったからといって治療が全て終わりではありません。

段階 内容 頻度の目安
型取り 精密な印象材やスキャナーで型を採る 2回程度
試適 咬み合わせや色味の確認を行う 1回〜2回
装着 完成した人工歯(上部構造)を固定する 1回
メインテナンス 清掃状態のチェック、咬み合わせ調整 3〜6ヶ月に1回

型取りと最終的な被せ物の装着

アバットメント装着後、歯茎の状態が安定したら、最終的な人工歯(上部構造)を作製するための型取りを行います。ここでは、周囲の歯とのバランスや色調、そして全体の咬み合わせを考慮して、技工士が精密に歯を作り上げます。

完成した人工歯を口腔内に装着し、高さや当たり具合を微調整して固定すれば、インプラント治療のプロセスは完了です。自分の歯に近い感覚でしっかりと噛める喜びを感じられる瞬間ですが、最初は違和感がないかを確認しながら徐々に慣らしていくことが推奨されます。

人工歯の装着

インプラント周囲炎を防ぐ定期検診

インプラントは人工物であるため虫歯にはなりませんが、歯周病に似た「インプラント周囲炎」という病気にかかるリスクがあります。これはインプラントの周りの歯茎や骨が細菌によって炎症を起こし、最悪の場合は骨が溶けてインプラントが脱落してしまいます。天然歯よりも防御機能が弱いため、進行が早いのが特徴です。

これを防ぐためには、自宅での丁寧なブラッシングに加え、歯科医院での定期的なメインテナンスが不可欠です。プロによるクリーニングやネジの緩みチェックを受けることで、10年、20年と長く使い続けられる可能性が高まります。

インプラントのメインテナンス

治療期間の目安と通院回数

インプラント治療は長期戦になることが多いですが、実際にはどれくらいの期間と通院が必要なのでしょうか。仕事や家庭のスケジュールを調整するためにも、標準的な目安を知っておくことは重要です。

治療内容 期間の目安 通院回数の目安
検査・診断 1日〜2週間 1〜2回
一次手術・抜糸 1日〜2週間 2〜3回
治癒期間 2ヶ月〜6ヶ月 1〜3ヶ月に1回程度(経過観察)
二次手術・型取り 2週間〜1ヶ月 2〜3回
装着・調整 2週間〜1ヶ月 2〜3回

全体にかかる期間と通院頻度

治療期間の総計は、順調に進んだ場合、最短で3ヶ月程度、骨造成などを伴うケースでは半年以上かかることもあります。通院回数は、手術や重要な処置の際は頻繁になりますが、治癒期間中は月に1回程度の経過観察で済むことが多いため、毎週のように通い続けるわけではありません。

ただし、これは順調に進んだ場合の目安であり、個人の治癒能力や口腔内の状況によって変動します。また、使用するインプラントメーカーの種類や、即時荷重(手術当日に仮歯を入れる方法)などの特殊な治療法によっては、期間を短縮できる場合もあります。最初のカウンセリングで、ご自身のケースにおける具体的なスケジュールを確認することをおすすめします。

手術前後に気をつけるべき注意点

インプラント手術の成功率を高め、トラブルを避けるためには、患者様自身の協力が欠かせません。これらを守ることで、傷口の治りを早め、痛みや腫れを最小限に抑えることができます。

タイミング 注意すべき行動 理由
手術前日 飲酒・夜更かし 体調不良や出血傾向を防ぐため
手術当日 車の運転(鎮静法の場合) 麻酔の影響で判断力が鈍るため
術後数日 激しい運動・長時間の入浴 血行が良くなり出血や痛みが強まるため
術後数日 患部での咀嚼・強いうがい 傷口が開き、治癒が遅れるのを防ぐため
術後全般 喫煙(タバコ) 血流が悪くなり、骨との結合を阻害するため

手術前日と当日の過ごし方

手術前日は、アルコールの摂取を控え、十分な睡眠をとって体調を万全に整えてください。疲労や寝不足は麻酔の効きや術後の気分に影響することがあります。当日は、締め付けの少ない楽な服装で来院し、女性の場合は化粧を控えめにすることが望ましいです。

また、静脈内鎮静法を行う場合は、当日の食事制限(固形食は手術当日は絶食、水分は手術2時間前から制限)があるため、事前の指示を必ず守ってください。鎮静法を使用した場合は、処置後の運転が禁止されるため、公共交通機関を利用するか、家族の送迎を手配しておく必要があります。

しっかりとした睡眠

術後の食事や生活の制限事項

手術直後は麻酔が効いているため、唇や頬を噛まないよう、食事ができるのは麻酔が切れてからになります。数日間は、お粥やうどんなどの柔らかいものを食べ、辛いものや熱すぎるものなどの刺激物は避けてください。また、手術部位を指や舌で触ったり、強く吸ったりすると出血の原因になります。

歯磨きに関しても、手術した場所はブラシを当てず、処方されたうがい薬で軽く消毒する程度に留めます。入浴はシャワー程度にし、激しい運動や飲酒も2〜3日は控えることで、腫れや痛みのピークを低く抑えることができます。特に喫煙はインプラントの失敗リスクを高める要因となるため、治療期間中は禁煙することが強く推奨されます(※4)。

術後の食事イメージ

※1)メタ解析で、喫煙者は非喫煙者よりインプラント失敗リスクが有意に高い(インプラント単位 OR 2.25)(原文: “Meta-analysis revealed a significantly enhanced risk for implant failure among smokers … OR 2.25”)

まとめ

この記事の要点をまとめます。

  • 治療は「検査・計画」「手術」「治癒期間」「人工歯装着」「メインテナンス」の順に進む。
  • 期間は全体で3ヶ月〜1年程度かかり、その大半は骨が結合するのを待つ期間である。
  • 手術は局所麻酔で行われ痛みは少ないが、成功のためには禁煙や安静など患者自身の協力が不可欠。

インプラント治療は時間がかかりますが、正しい手順とケアを行うことで、自分の歯に近い噛み心地を取り戻せる最良の選択肢の一つです。全体の見通しを持って、安心して第一歩を踏み出してください。

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インプラント手術の流れとは?期間や痛み、注意点を解説します | 公開日: 2026/02/06 | 更新日: 2026/02/06 | by 梅田アップル歯科

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