前歯にインプラントはできないって本当？

インプラント治療は前歯に限らず、どの歯であってもインプラント体を埋入するための骨の厚みが必要になります。

通常、インプラントを埋入し、支えるためにはインプラントの直径に加えて両側（頬側・唇側）に1.5mmずつ程度の厚みを必要とします。

日本人は特にこの前歯の顎の骨の厚みが薄いため、無理に埋入するとインプラントが顎骨を貫通してしまったり、インプラントが脱落してしまう恐れがあります。

前歯の顎骨はもともと薄い場合が多いことに加えて、歯周病の進行などによって骨が溶かされることで更に薄く痩せ細ります。

前歯はインプラントに限らず、審美性が求められる治療となります。そのため、例えば被せ物の治療においても、前歯の場合奥歯より費用が高くなるのは、この審美性を担保するためでもあります。

また、インプラントの埋入角度を誤ると歯の形や向きがおかしくなったり、骨の痩せ方や残り具合を計算して治療しなければ、歯が長く見えてしまうこともあります。

そのため、しっかりとした技術を持った歯科医師や審美的な補綴物が得意な技工士がいなければ、前歯のインプラントは難しいと言えるでしょう。

前歯のインプラントは骨が薄いためにできないことが最も大きな理由ですが、実は骨を作ることで多くの場合において治療が可能となります。

しかし、この骨造成を習得するには、それなりの勉強や練習が必要となります。もちろん、歯科大学でも何度も教えてももらえるような実習ではありませんので、歯科医師になったあとに自身で学ぶ必要があります。

そのため、勉強会やセミナーに参加できない歯科医師は、技術の習得ができない場合もあります。結果として、前歯のインプラントができない原因となります。

インプラント治療には、骨に穴を開ける道具やインプラントを締める手術に使う道具の他、治療計画を立てるためのCTや、サージカルガイドというインプラントの埋入位置・角度を正確にするための道具が必要になる場合があります。

もちろん奥歯も場合もCTもサージカルガイドもあった方が良いですが、CTなどは特に高額なため、中にはレントゲンだけで治療をする歯科医師もいます。

しかし、よほど熟練していなければサージカルガイド無しでの手術はリスクを伴いますし、CT無しでは「切ってみなければわからない」という恐ろしい状態になります。そのため、インプラントを安全に行う設備が整っていなければ、前歯のインプラントは難しい場合が多いです。

前歯のインプラントは不可能ではありません

このように、前歯のインプラントは確かに難しい一面はあります。しかし、前歯だからといってインプラントができないわけではありません。

技術や設備が整っていれば、治療が出来る可能生は大いにあります。また、前歯だからこそインプラントをした方が良い場合もあります。

当院でも、実際に前歯のインプラント治療は頻繁に行っています。