歯磨きの際に、歯ブラシを口に入れると「オエッ」と吐き気を催して、えずいてしまう生理的な反射のことを嘔吐反射といいます。
舌磨きをする際に、歯ブラシを喉の奥まで入れてしまうと吐き気を催す方も多くいらっしゃいますし、個人差はあれど、決して珍しい症状ではありません。
口腔内を刺激することでも起こりますし、過度な緊張や恐怖心、ストレスなどの心理的な理由で引き起こす場合もあります。
また、歯医者で治療を行う際も、歯の型取りでトレーや、口腔外バキュームを口にいれたとき、奥歯をレントゲン撮影するとき等に嘔吐反射が起こり、治療どころではなくなり、歯医者嫌いになってしまう方もおられます。
そして、歯科治療ができないから口腔内がどんどん悪くなってしまうという負のループが始まってしまいます。
ここでは嘔吐反射でお悩みの方であっても治療が行えるよう、歯医者側ができる対応をご紹介します。
残念ながら、嘔吐反射そのものを治すことは難しいとされています。
しかし、嘔吐反射が起こる方であっても、歯科治療を進めるための方法は存在します。
そのため歯医者での治療がトラウマのようになってしまって、「苦しい思いをするなら歯医者には行かない」と諦めずに、まずは歯科医師に相談することをおすすめします。
まずは、嘔吐反射に対する対策をしっかり行っている歯科を探しましょう。多くの歯科医院が、嘔吐反射に対する対策を講じていますが、中には「我慢して」というだけの歯科もあったという話も聞きます。
基本的にはホームページなどで、嘔吐反射に対する説明などがあるかないかなどを調べることが大切です。
嘔吐反射が強いと自覚されている方の中には、自分で歯磨きをしている時は症状がでずに、歯医者に治療されるときにのみ吐き気を催す場合が多いという方もいます。
それは、他人に口の中を触られることによるストレスや不安が起因している可能性があります。
そのため、治療を担当する医師を信用し、全て任せる気持ちで治療に臨むことで症状が和らいだという方もいます。
口呼吸は嘔吐反射を起こしやすいと言われています。そのため、普段から鼻呼吸を心がけたり、治療中は特に鼻呼吸を意識するようにしましょう。口呼吸は嘔吐反射だけではなく、風邪をひきやすかったり脳の成長に影響を及ぼすこともあるため、普段から鼻呼吸で生活できるように改善することをお薦めします。
また、花粉症等がある場合は、花粉の季節にはお薬を飲んでから治療に臨みましょう。
嘔吐反射は生理現象に近いものであり、自分の意思ではなかなか止めることができません。そのため、頑張ってはみるものの「辛い」と感じたらすぐに手を上げて歯科医師に知らせてください。
歯科医師側も反射的に口腔内に器具がある状態で動かれるとリスクを生じますので、嘔吐反射がある方に特に慎重アンテナを立てているはずです。遠慮なく伝えて下さい。
嘔吐反射は精神的なところも影響すると言われています。「器具が入ってくる」「耐えられるかわからない」「我慢できるかどうか」などと考え込んでしまうと、かえって緊張し、口の中に何かが触れた途端反射的にオエッとなってしまうこともあります。
歯科医師や歯科助手と世間話でもしながら、治療以外のことを考えて治療に臨めるようになれば、嘔吐反射がでなくなる方もおられます。
どれだけ意識しても、嘔吐反射を克服することは難しいという人が多数かと思います。克服しようとすればするほど緊張してしまい、逆効果になることもあります。
緊張を緩和させるためにも、治療中に音楽を聴いたり、自身がリラックスできる方法で治療に臨むと嘔吐反射に対する効果が出ることもあります。
また、呼吸の際に「息を鼻から吸って、口から吐き出す」ということを実践するだけでリラックスできるケースもあります。どんな方法が良いのか、治療前に担当医と相談してみましょう。
嘔吐反射には、反射行動を起こす「トリガーポイント」があることが多いです。それは舌であったり、粘膜であったり人それぞれですが、ある程度傾向があります。また、嘔吐反射がある場合でも、「ソフトに当たる程度なら大丈夫」という方もおられます。
まずはそのトリガーポイントに触れないように治療することが、嘔吐反射対策の第一歩となるので、私たち歯科医師はそのトリガーポイントを予測し、どの程度まで通常の治療が可能なのか、見極めることから始めます。
嘔吐反射は口腔内に器具や指がトリガーポイントにあたることで起こります。そのため、小さな器具を使うなど、口腔内に触れない・触れる面積を抑えることで嘔吐反射を起こさず治療することができる場合があります。
例えば成人の方に小児用のドリルやヘッドを使ったり。全体の型取りが必要な場合でも部分用の型取りを分けて歯型を取ることで、嘔吐反射を抑えながら治療できるよう努めていきます。
通常歯科治療は診療台を倒して治療を行います。しかし、嘔吐反射が強い方に限っては、少し起こした状態で治療することで、嘔吐反射を起こしにくくなる場合があります。
場合によっては横にならざるを得ない場合もありますが、極力身体を起こした状態で治療することで、嘔吐反射が起きにくい姿勢で処置を行います。
通常歯科治療の際は、粘膜に局所麻酔を行います。嘔吐反射の方の場合、
トリガーポイントに表面麻酔をおいたり、口蓋という歯の裏側に麻酔を打つことで器具の摂食を感じにくくなり、嘔吐反射を抑制できる場合があります。
嘔吐反射が起きやすい処置の一つが、歯の型取りです。これは通常の治療では嘔吐反射を起こさない方でも、オエッとなることが多い処置です。
この型取りを、印象材をトレーにのせたもの噛んで行う従来のやり方ではなく、光学印象という小型カメラを使った新しい歯の型取りを行うことで、嘔吐反射を抑えて歯を作ることができます。
嘔吐反射が強い場合は、笑気麻酔や静脈鎮静麻酔という、口腔内以外から導入する麻酔を使用します。
笑気麻酔を使用することで、緊張状態を和らげ、えずきや嘔吐反射がでにくくする効果が期待できます。笑気麻酔は毒性がなく、副作用がほぼないと言われており、小さな子供にも使用できます(※1)。また、笑気麻酔でも効果がない場合や、大きなコントロールが必要な場合は歯科麻酔医を呼んで静脈内鎮静法という、半分眠ったような(お酒に酔ったような)状態にして治療を行うことで、嘔吐反射を抑えて治療おこないます。
※現在笑気麻酔は当院では取り扱っておりません(グループ医院にて取り扱いがあります)
(※1)小児に対し,笑気吸入鎮静法を用いて,局所麻粋を行った時の表出する内部行動と外部行動の観察の結果,笑気吸入鎮静法下で歯科治療を行うことは,痛みを暖和し,その結果,良好な内部行動,外部行動が得られ,行動療法上有効であることが明らかになった。
嘔吐反射の対策をいくつかご紹介しましたが、苦手意識は、なかなか拭いきれないという方もいらっしゃるかと思います。
しかし、嘔吐反射があるために治療を先延ばしにしてしまうと、いざ治療が必要になった時には何度も歯医者に通わなければならなくなっていたり、その分治療費もかさんでしまうこともあります。だからこそお早めに自身が治療できる方法・歯科医院を見つけていただき、まずは必要な治療を頑張って行ってしまいましょう。
当院では、その後は治療が必要にならないように予防歯科を始めることをお薦めしています。予防歯科は治療器具より道具も小さいですし、何より我慢してまでするような処置がありません。また、治療ができるようになった歯科に定期的に通うことで、精神的にも安心できる歯医者に通えることも、嘔吐反射の改善につながると考えています。歯医者が苦手だからこそ、歯医者に通う。歯科治療ではなく予防歯科をご検討してみてはいかがでしょうか?
医院情報
医院名:梅田アップル歯科曜日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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診療開始 | 9:30 | 9:30 | 9:30 | 9:30 | 9:30 | 9:30 |
診療終了 | 18:30 | 18:30 | 13:00 | 18:30 | 18:30 | 17:00 |
診療情報
休診日:日曜・祝日
※日曜・祝日診療は下記診療カレンダーをご覧下さい。
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