歯列矯正とは、そもそも「不正咬合」という良くない咬み合わせを治すために行う治療です。その上で、咬み合わせを整えると歯並びが良くなり、それに付随して見た目もキレイになるというメリットがついてきます。
すなわち歯列矯正は、咬み合わせを改善するために歯を全体的に動かして行く治療となります。治療のゴールは人によって異なりますが、概ね1歯対2歯咬合を実現し、「理想咬合」に近づける治療となります。そのため、例えば上顎の前歯のデコボコや前突を治療するのにも、上下の奥歯を動かすことでスペースを作りながら奥歯が上下で噛み合うように調整します。簡単にいうとこれが全体矯正です。
これに対し部分矯正とは、例えば奥歯を動かさずに今あるスペースを有効に使って前歯だけを動かす矯正のことを言います。しかし、たとえ1本だけ飛び出ている歯を治すにしても、その歯を並べるスペースを作らなければならないため、空いているスペースに歯を送ったり、傾斜を付けたり、少し歯を削ることでスペースを作って歯を並べます。
歯を移動する距離と本数が少ない部分矯正は、全体矯正に比べ費用も期間も抑えられる治療となります。
部分矯正を希望される患者様のほとんどの主訴が、「前歯」の矯正です。「前歯のデコボコだけ治したい」「突き出た前歯だけ引っ込めたい」「捻れて生えている1本だけ治したい」など、見える部分の審美的な改善を求めることが多い傾向です。
もちろん、前歯を矯正でキレイに並べることは可能です。しかし、2本だけデコボコだから2本だけの治療になるかというとそうではありません。その2本を動かすためには、その2本が並ぶためのスペースを作る必要があります。そのため、2本を動かす治療でも片顎4本〜10本の歯の移動が必要になります。
また、上顎だけ治したいというご要望であっても、下顎の歯と噛み合っていなければ、しっかり噛めなかったり、顎に問題が生じたり、噛む力がアンバランスにかかることで歯が割れたり勝手に移動することもあります。そのため、一部を除いて前歯の部分矯正でも、上下の歯の移動が基本となります。
部分矯正は、すべての不正咬合に適応可能な治療ではありません。ずばり言うと「軽度の不正咬合」にのみ適応される可能性がある矯正です。
軽度の「叢生・八重歯」、軽度の「上顎前突・下顎前突」、軽度の「捻転歯」、軽度の「すきっ歯」、軽度の「開咬」などです。
しかし、「軽度」と言っても、歯に知識の無い方には自身が軽度なのか重度なのかわかるものではありません。ご自身では、「ちょっとだけ出っ歯になっているだけ」と思っていても、確かに叢生(デコボコ)は少ないけど歯を並べるスペースがない場合、実は開咬(前歯が噛まない咬み合わせ)を伴っている場合、下顎の前歯がガタガタなだけと思っていたら顎が極端に小さく、抜歯が必要な場合等もあります。
ご自身がどんな不正咬合で、どの程度の状態なのかを知りたい方はご自身で判断せず、まずは歯科医師に「歯並びを治すとしたらどんな選択肢があるか」を確認して頂く必要があります。
部分矯正には大きくわけて「ワイヤーによる矯正」と「マウスピースによる矯正」があります。どちらも一長一短ありますが、ワイヤー矯正の場合は動かす歯だけにワイヤーを着けて矯正力で歯を移動します。
一方のマウスピース型矯正装置は、歯全体を覆う装置を着けて必要な歯のみを動かします。例えば「3番から3番の6本の歯」を動かしたい場合でも14歯(片顎全部)をマウスピースで覆います。
また、ワイヤー矯正は歯にマルチブラケットという突起を貼り付けてワイヤーを通しますので、自身での取り外しはできません。反対にマウスピース型矯正装置は取り外しが可能で、食事や歯磨きの際は取り外して頂く必要があります。装置が取り外せないことがストレスになる場合もあれば、逆に取り外さなければならないことが煩わしいと感じる方もいらっしゃいます。
そして、目立つ目立たないでいいうと、やはり透明で目立たないのはマウスピース型の矯正装置で、突起やワイヤーが見えるワイヤー矯正は目立つ矯正になります。
近年では、軽度の歯列矯正はワイヤー矯正から徐々にマウスピース型矯正装置に入れ代わりつつあります。しかしすべての矯正治療がマウスピース型矯正装置でワイヤー矯正と同じようにできるかというとそうではありません。マウスピース型矯正装置にも「得意な症例」と「苦手な症例」があります。特に部分矯正・前歯の矯正については、このマウスピース型矯正装置が得意とする症例が増えてきています。
しかし、残念ながら現時点では、「しっかり治療ができるマウスピース型矯正装置」もあればそうではないマウスピース矯正装置もあります。そのため患者様には、「しっかり動く矯正装置を使っているか」「咬み合わせも含めて治療してくれる医院のか」をご自身で見極めて頂く必要があります。この記事が患者様の医院・装置選びの一助になればと思います。
当院では前歯のマウスピース矯正には、主にインビザライン・ジャパン社のインビザラインGoやインビザライン・エクスプレスを使って治療を提供しています。
前歯1〜数歯の治療や、過去に矯正治療をしたけど少しだけ後戻りしてしまったという患者様にはインビザライン・エクスプレスという少数歯向けの矯正装置をご提案しています。
インビザラインエクスプレスはインビザラインシステムの中でも最もステージが短く、短期間で治療が可能です。また、条件によっては、片顎だけの治療が可能になる場合があります。
期間も費用も抑えることができ、およそ4ヶ月(14枚のアライナー)で治療が終わります。
費用は当院の場合、片顎255,000円(税込280,500円)、両顎327,000円(税込両顎359,700円)で提供しています。
奥歯(6番と7番)がしっかり噛み合っていれば、5番〜5番の歯を動かすことができるインビザラインGoという矯正装置が使用可能です。
インビザラインGoは20枚のアライナーでおよそ半年程度の治療で歯を並べます。基本的には両顎とも装置を装着する必要があります。
費用は当院の場合、両顎400,000円(税込440,000円)で提供しています。
部分矯正で出来るのは、「歯の高さを揃える」「歯の多少の重なりを治す」「歯の隙間を詰める」などの治療です。基本的には現在の咬み合わせが「歯を動かすスペース」が確保できる状態で、奥歯が噛んでいれば様々な症例でも対応が可能です。例えば、全体矯正でも難易度が高い開咬や下顎前突(受け口)も、部分矯正(マウスピース型矯正装置)で治療が出来た例もあります。
とはいえ、そのような例はそれほど多くないため、「難症例」に分類される咬み合わせは、基本的には部分矯正では難しいと考えたほうが良いかと思います。
歯を動かす自由度でいうと、ワイヤー矯正の方が高いかもしれませんが、ワイヤー矯正で歯を動かすにはそれなりの技術と経験が必要です。その点において、データ上で計算してくれるマウスピース矯正と比べ、提供側の歯科医師が少ないとも言えます。
Before
After
前歯の叢生に対して前歯用のマウスピース型部分矯正「インビザラインGo」を用いた矯正治療です。わずか5ヶ月でキレイに並びました。
治療の内容 | マウスピース型矯正装置(インビザラインGo)による前歯の歯列矯正。 |
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期間・回数 | 5ヶ月・10回(カウンセリング・検査含む) |
費用 | 自由診療:マウスピース型矯正装置(部分矯正) 総額 400,000円(税込 440,000円) |
リスク・副作用 |
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部分矯正で、マウスピース型矯正装置を使って歯並びを改善する場合、iTeroという機械を使うことで、歯並び矯正のシミュレーションが可能です。
iTeroというのはインビザライン社が提供している光学式口腔内スキャナーで、カメラ部分でお口の中をグルっと一周撮影するだけで、患者様の歯型がDATA上で保存され、その咬み合わせからインビザライン各種によるマウスピース矯正による矯正装置を使ったシミュレーションが可能です。
その精度は中々のもので、撮影方法や治療計画にもよりますが、シミュレーションに近い形で治療結果を得られることも多いです。
シミュレーション Before
Before
シミュレーション After
After
治療前に撮った光学式口腔内印象から起こしたシミュレーション画像と、実際の治療前・治療後の写真です。治療計画や患者様の装置装着時間によって治療の結果は異なるため精度には個人差がありますが、シミュレーションに沿った歯の移動ができています。
治療の内容 | マウスピース型矯正装置(インビザラインGo)による部分矯正とホームホワイトニングによる治療 |
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期間・回数 | 6ヶ月・7回(カウンセリング・検査含む) |
費用 | 自由診療:マウスピース型矯正装置(部分矯正)+ホームホワイトニング 総額 450,000円(税込 495,000円)(現在とはホワイトニングの費用が異なっています) |
リスク・副作用 |
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「前歯だけでもキレイにしたい」けど「部分矯正でできるかどうかわからない」とお悩みの方は少なくありません。自身の歯が、部分矯正で治るのか、全体矯正が必要なのか、まずは専門家(歯科医師)に相談しましょう。
当院にも、「部分矯正で治せるか知りたい」とうい患者様はたくさんお越しになられます。その中には部分矯正で治療が出来る方も、全体矯正が必要な方もおられます。
もちろん、部分矯正が無理なら矯正はしないという選択肢もあります。相談したからと言って、矯正治療を受けなければ行けないということはありませんので、お気軽にご相談下さい。
当院では矯正無料相談も承っています。歯並びが気になる方は、相談だけでもご利用頂けます。
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簡単WEB予約医院情報
医院名:梅田アップル歯科曜日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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診療開始 | 9:30 | 9:30 | 9:30 | 9:30 | 9:30 | 9:30 |
診療終了 | 18:30 | 18:30 | 13:00 | 18:30 | 18:30 | 17:00 |
診療情報
休診日:日曜・祝日
※日曜・祝日診療は下記診療カレンダーをご覧下さい。
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | ||||||||||||||
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