大人の矯正はやめた方がいい?40代からの矯正

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大人の歯列矯正はやめたほうがいいって本当?

大人の歯列矯正はやめたほうがいいと言われる理由

40代以上の歯列矯正は失敗する?

40代以上で歯列矯正を始める方

近年、2019年からの新型コロナの影響でマスクをする生活が長引いたこともあり、「マスク期間中に…」ということもあって、歯列矯正をする人が増えてきました。

その中には若い方だけではなく40代以上の熟年層から矯正を始める方も増えてきています。

その理由として、一つは「マスクをしていて目立ちにくい」というのがありますが、その他にも「昔から治したかったが当時はお金がなかった」「子育てが落ち着いた」「親が矯正に対して興味がなくてお金を出してもらえなかったが今は自分で出せる」など、タイミング的な問題で、お金や時間に余裕ができたことが大きいようです。

また、近年では歯列矯正の広告などもよく見るようになり、周りに「矯正をした人」「矯正中の人」が増えてきたことも後押しとなり、相対的に矯正人口が増えてきています。

矯正装置を付けた成人女性

40代からの歯列矯正での失敗

しかし矯正をされた方の中にも「矯正して失敗した」と感じている人もおられるようです。では、せっかくお金や時間をかけて歯並びを治したのに、「失敗した」と思う理由はどのようなものがあるのでしょうか。

大きくわけると「歯列矯正による偶発症」によるものと「年齢による影響」の2つがあるようです。

偶発症というのは、矯正治療をするにあたって偶発的に生じる不都合な症状のことで、「誰しもが起こる」わけではないですが「起こる可能性がある」事象です。これは、年齢に関係なく起こることですが、40代以降で矯正を初めたのに偶発症が現れた場合、「やっぱりやらなければよかった」というマインドになりやすいのかもしれません。

また、やはり歳を取ってから矯正を始めると、この偶発症が起こる可能性も少し上がるというのもあります。また、歯の動きも若年層と比べて動きにくいということもあり、思ったように治療が進まなかったことが後悔につながることがあるようです。

歯磨き中に顎の痛みを感じる

大人が歯列矯正をして後悔するワケ

1.顔が変わった

ほうれい線が濃くなる 抜歯矯正が原因となることが多いです。また、矯正治療中に装置の違和感から咀嚼回数が減り、筋力不足や栄養不足が原因で口元の皮膚がたるんだことが原因となることもあります。
顔が面長になる 矯正治療中に装置の違和感から咀嚼回数が減って、筋力不足や栄養不足になることで頬がこけたり顔がやつれることで面長になったり、前歯を動かすことで人中が伸び、鼻の下が長くなることで面長になってしまう場合があります。
口元が出る 非抜歯矯正によくある症状で、歯を並べる隙間がないのに歯を並べようとすると歯を前に張り出す必要があるため、結果的に歯の並びはキレイになったが出っ歯になってしまうことがあります。

再治療やリカバリーが必要な場合もありますが、矯正後に表情筋のトレーニングを行うことで、改善できる可能性もあります。

ほうれい線

咬み合わせが変わって馴染めない

矯正治療というのは、見た目だけではなく咬み合わせを変える治療です。しかし口の中というのは、例えば髪の毛1本入っただけでも気になるほど敏感にできています。それがゆっくりとは言え「噛む場所」がかわるわけですから、もちろん最初は馴染めないこともあります。それでも人は慣れる生き物ですので、時間とともにその咬み合わせに適応することがほとんどです。

咬み合わせの改善の多くは、これまで間違っていた咬み合わせを正しい状態にするための治療ですが、中には知識のない歯科医師によって、咬み合わせがおかしくなってしまう人もいるようです。

歯列矯正をする場合、どんな歯科医師にお願いするかはとても需要なファクターとなります。

顎の違和感

治療が思ったより長い

歯列矯正というのは、程度や治療法にもよりますが、一般的に2〜3年程度かけて行う治療です。しかし、歳を取ると骨が硬くなるため、子供や若い方に比べて歯の動き遅くなります。

また、若年層に比べて不正咬合のまま過ごした期間が長く、悪い咬み合わせが悪化してしまっている可能性もあります。

そのため、2年ぐらいで終わると思っていた治療が3年、4年とかかってしまうことで「いつまで経っても終わらない」と、感じてしまうこともあります。

カレンダー

歯に隙間ができた

歯列矯正をすると、歯が綺麗に並んでいく過程で、歯と歯の間の歯肉が引き伸ばされることで歯肉の高さが変わったり、歯の重なり部分がもともと歯槽骨が薄く、歯が並ぶことで隙間ができることがあります。

また、30代を超えると歯周病に罹患している確率が高くなり、40代ともなるとその症状もで始めます。そのため、歯槽骨が吸収する(溶ける)ことで骨の高さが低くなり、歯の根元の方が細くなったように見え、隙間ができます。

この隙間は特に下顎の前歯に起こりやすく、黒く三角の隙間ができることから「ブラックトライアングル」と呼ばれます。

対処方としては、ラミネートベニアや樹脂による治療で歯の隙間を隠したり、ヒアルロン酸などで歯茎をふくらませる方法が考えられます。
※ヒアルロン酸注入は当院では行っていません。

ブラックトライアングル

歯の神経が死んだ

これも矯正治療の偶発症で、歯の動くスピードに歯の神経がついてこれず、歯の神経が死ぬ「失活」という状態に陥ることがあります。

電源コードを引っ張ると、コンセントが抜けてしまうのと同じようなイメージで、神経が伸縮・移動できないことで起こる症状です。

失活した歯は神経を取る処置が必要となるばかりか、被せ物(差し歯)となってしまいます。また、神経を取ることで歯はもろくなり、歯の寿命自体も短くなります。

歯を健康に保つために歯列矯正を選択された方にとって歯の失活はショックが大きく「こんなことになるなら矯正しなければ」と思ってしまう大きな要因となります。

失活を防ぐためには、弱い力でゆっくり動かす、歯科医師の治療計画がポイントになってきます。

参考記事:気になる歯の変色と治療法

歯の変色

歯が長くなった

歯列矯正の偶発症の一つに「歯肉退縮」というものがあります。これは時のごとく「歯茎が下がって縮む」ことで、これまで歯茎の中にあった歯の根の部分がむき出しになることがあります。

そうなると歯が長く見えるため、歯並びはきれいでも「長い歯がある」という新たな悩みに繋がります。

長くなりやすい歯は歯槽骨が薄い傾向にあり、そこに強い叢生(デコボコ)があると歯を動かすことで歯の根が露出しやすくなります。

治療計画上どうしても少し歯が伸びてしまうケースもありますが、予防法としては矯正治療中のしっかりとしたメインテナンス(歯石取り)、毎日の歯ブラシで歯周病から歯を守ること、喫煙者は禁煙をする、ビタミンA・Cの適度な摂取などが効果的だと考えられます。

参考記事:歯周病で歯茎が下がる!?原因7選

長くなった歯

虫歯が進行した

矯正治療中は、その装置の凹凸や接着部分の隙間に、食べかすや歯垢が溜まりやすくなります。その食べかすや歯垢は虫歯や歯周病菌の餌となり、装置の隙間や接着部分は住処となります。

そのため、矯正治療中は虫歯や歯周病のリスクが高まります。また、矯正治療中は装置があるため虫歯が見つかっても治療できる範囲に限りがあり、矯正治療終了後に多くの虫歯治療をしなければならなくなるということもあります。

また、矯正治療中は歯磨きが難しくなるため、更に虫歯・歯周病のリスクは高まります。

矯正治療中は、歯科衛生士の指導に従ったセルフメインテナンスと、定期的なプロの手による歯のクリーニングが必要となります。

矯正装置によってできた虫歯

40代以上でも大人の歯列矯正をした方がいい?

歯列矯正で失敗しないために

歯列矯正で失敗したと感じるのは「想像していた結果に及ばなかった」もしくは「想像もしてなかった不利益があった」ということがそもそもの要因です。

つまり、想像通りもしくは想像以上の結果を得ることが「矯正治療をやってよかった」という感動につながります。要するに、矯正治療を始める前に「治療後の自分」を正確にイメージしておくことが大切ということです。

矯正することでどのような歯並びになるのか、矯正することでどのようなリスクが有るのか、矯正治療中・治療後にどのようなことが起きうるのか、あらかじめそれらを知っておくことで、起こり得るリスクや結果に備えができます。当院では、治療前にシミュレーションやカウンセリングで、これらにしっかり時間をかけて説明をし、同意の上で治療を初めます。矯正治療で失敗しないためには、インフォームド・コンセント大切だと考えています。

矯正シミュレーション風景

40代以上でも歯列矯正を始める理由

40代を超えてから歯列矯正というと、一昔前では「今からきれいにしてどうするつもり?」など、揶揄されたこともありました。

しかし、現在では、歯並びによって将来的なお口の健康、延いては身体の健康につながることが広く知られるようになりました。例えばある調査では8020(80歳で20本の歯を残すという歯科医師会が推進する取り組み)達成者の中に、「開咬」と「下顎前突」はいなかったということ(※1)です。つまり、不正咬合は歯を残すことが困難であるということになり、歯を失うと咀嚼力の低下により、消化器や脳の機能の低下につながる(※2)と言われています。

つまり、40代を過ぎて不正咬合でもまだ歯に影響が出ていないようであれば、今のうちに治療することで将来的に歯や身体の健康を守れる可能性は高くなると言えます。

矯正相談風景

※1)8020達成者の咬合について 前後的位置関係は正常が86.5%,上顎前突15.4%,反対咬合0%,垂直的位置関係は正常が86.5%,過蓋咬合13.5%,開咬0%であった.

※2)歯の喪失に伴う歯根膜・筋・顎関節などからの情報入力の変化は,咀嚼運動を遂行に関与する様々な脳部位に影響を及ぼしている.

40代・50代でも歯列矯正はできる?

歯列矯正に年齢は関係ありません。例えば60歳でも70歳でも矯正治療に耐えれる歯が残っていて、ご本人が望まれるなら治療は可能です。よく、歯科治療でQOL(クオリティ・オブ・ライフ)という言葉が使われますが、これは「生活の質」という意味を表します。歯列矯正は、まさにこのQOLを高める治療の一つで、見た目の悩みを解決し、将来的なお口や身体の健康を守る一助になる治療です。

ですから、「今さら矯正なんて」ではなく「今からでも矯正」と考えることができれば、50代・60代になったときの生活の質が大きく異なっている可能性があります。

当院でも、40代・50代から治療を初められる患者様も最近では珍しい話ではありません。もし、歯並び治療に興味がありましたら、お気軽にご相談下さい。

歯並びを気にする中年男性
この記事の編集・責任者は歯科医師の新殿 慶太です。
梅田アップル歯科院長
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大人の矯正はやめた方がいい?40代からの矯正 | 公開日: 2023/02/17 | 更新日: 2024/05/21 | by 梅田アップル歯科

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